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目の病気
色覚障害
先天色覚障害の大部分は「赤緑色覚障害」ですが、赤が緑に見えるということではなく、赤と緑の区別がつきにくいということです。
色覚障害とは
色覚障害には生まれつきある「先天色覚障害」と、網膜の病気などにより生じる後天色覚障害とがあります。
先天色覚障害は従来「色盲」という言い方をされていましたが、色がほとんどわからないといった誤った印象を与えやすいため、現在では使われなくなりました。
先天色覚障害の大部分は「赤緑色覚障害」ですが、これは赤が緑に見えるということではなく、赤と緑の区別がつきにくいということです。
例えばチューリップの赤い花と緑の葉の見分けが難しいといった具合です。
このように区別しにくい色の組み合わせを混同色と呼び、(赤と緑と茶)、(ピンクと水色と灰色)、(緑と橙)などがあります。
同じ色の組み合わせでも条件によって見え方は異なり、“小さいもの”、“暗い場所”、“見る時間が短い場合”には間違いが生じやすくなります。
《混同色の例》
頻度は
X染色体性劣性遺伝という遺伝形式をとるため男性に多く、女性では500人に1人程度と比較的稀なのに対し、男性では20人に1人くらいと高頻度にみられます。男の子の場合にはクラスに1人くらいいる計算になります。
進学・職業の問題
理工系・医歯薬系を含め、原則としてどの大学でも進学は可能です。ただ、部分的な制限が有る場合もあるので募集要項の確認は必要です。職業の制限も近年になり撤廃されつつありますが、飛行機のパイロット、自衛官、警察官は安全面から制限を受ける場合があります。
上に示したような色の混同を起こすのは強度の異常を持つ方ですが、軽度の方でも識別に要する時間は正常者に比べて長くかかります。
例えば、運転中に信号を注視する時間は色覚障害者では正常者の2倍以上であるという報告もあります。
職業の選択に際しては、このような本人の負担も考慮に入れるべきでしょう。
花粉症
花粉症は季節性のアレルギー疾患で、スギ・ヒノキ花粉症の場合には例年2月から5月くらいまで症状が続きます。
アレルギー性結膜炎と花粉症
2017 年の日本眼科アレルギー研究会有病率調査によると日本におけるアレルギー性結膜炎の有病率(病気を持っている人の割合)は48.7%でした。症状は目のかゆみを特徴としますが、充血、目やに、涙が出るなど他の結膜炎と共通する症状も現れます。
出典元:日本眼科学会 アレルギー性結膜炎疾患診療ガイドライン(第3版)第2章 スコープ Ⅱ疫学 より(PDF)
※PDF形式の文書をご覧いただくには、Adobe Acrobat Reader® (無料)が必要です。
花粉症は花粉に対するアレルギーで、2月から5月にはスギ、ヒノキ、6月にはカモガヤなどのイネ科植物、9月にはブタクサ、ヨモギが主な原因となります。季節を問わず症状の出る通年性のアレルギーの場合には花粉よりもダニ、カビ、ハウスダストのアレルギーが疑われます。
アレルギー性結膜炎の治療
アレルギー性結膜炎
上眼瞼結膜(上まぶたの裏側)の充血と結膜乳頭
治療の第1選択は抗アレルギー剤の目薬です。2種類のタイプがあり、一つはヒスタミンなど化学伝達物質の放出を抑えるもの、もう一つは抗ヒスタミン作用をもつものです。両者は作用機序が異なるため、単独で作用が弱い場合は併用することも可能です。
しかし現実的には抗アレルギー剤だけでは症状を抑えきれないこともしばしばあります。その場合はステロイドの点眼を使用します。ステロイド剤といっても目薬で使用される量では副腎皮質機能抑制などの全身的副作用はあまり心配する必要がありません。眼圧上昇や感染症など局所的な副作用は生じることがありますが、定期的に経過観察することで使っていただけます。
初期療法
スギ花粉症のように発症時期が予測可能な場合には花粉飛散のピーク前に治療を開始する初期療法が有効で、通常は花粉前線が到来する2月半ばから逆算し、1月下旬~2月初旬頃より抗アレルギー剤の使用を開始することでそのシーズンの症状を軽く抑えられることが報告されています。
眼精疲労
眼精疲労とは目を使うことに伴う疲労で、健常者では疲れない程度の作業でも疲れを生じることがあります。
眼精疲労の原因
眼精疲労とは目を使うことに伴う疲労で、健常者では疲れない程度の作業でも疲れを生じ、目の疲労感以外にも目の痛み、目のかすみ、流涙、充血などを伴い、全身的には頭痛、肩こり、ときには悪心・嘔吐まで引き起こすこともあります。
眼精疲労の原因には大きく分けて
(1)目の異常によるもの、(2)眼以外の異常によるもの、(3)環境要因によるものの3つがあります。
1. 目の異常によるもの
- 調節異常(老視・調節痙攣)
- 屈折異常(遠視・近視・乱視)
- 眼位異常(斜視・斜位)
- 器質的疾患(ドライアイ・緑内障・結膜炎など)
2. 眼以外の異常によるもの
- むちうち症、自律神経失調症、全身疲労、ストレス
3. 環境要因によるもの
- VDT作業、化学物質過敏症
眼精疲労の治療
眼精疲労の原因は上に示しましたようにたくさん考えられます。ですから眼精疲労の治療の第一歩はその原因を見つけ出すことと言えるでしょう。原因が調節異常・屈折異常の場合は患者さまに合った眼鏡やコンタクトレンズを装用することで楽になります。ドライアイでしたら点眼や涙点プラグなどの治療で改善が期待できます。ただ、患者さま自身にかかわりがあると考えられる要素が複数あることも少なくありません。時間がかかる場合もありますが、それらの要素を一つずつ取り除いていくことで眼精疲労は改善できると考えられます。
緑内障
緑内障は眼球から脳に信号を送るケーブルの役割をする視神経線維が減少していく病気で、失われた神経線維に相当する領域の視野に感度の低下や欠損が起きてきます。
視覚のしくみ
人間は眼だけで物を見ているのではありません。眼球は言ってみればカメラに過ぎず、実際に映像を認識しているのは大脳の後頭葉にある視覚野という領域です。眼球から後頭葉へと信号を送るケーブルの働きをする神経を視神経と呼びます。視神経は約100万本の視神経線維が束になったものです。
緑内障とは
緑内障はこの視神経線維が減少していく病気で、失われた神経線維に相当する領域の視野に感度の低下や欠損が起きてきます。最近の大規模な統計(多治見スタディー:日本緑内障学会 平成14年)で40歳以上の人口の5%以上、実に20人に1人以上が緑内障患者であるという結果がでています。
緑内障の原因は
10年程前までは高い眼圧こそが緑内障の唯一の原因と考えられていました。眼圧とは眼球の形状を維持するための圧力で、日本人では10~19mmHg(ミリ水銀柱:圧力の単位)の幅の中に収まり、20mmHg以上の眼圧を高眼圧といいます。高眼圧が緑内障の危険因子であること自体は誤りではないのですが、最近になり眼圧が20mmHg以下、いわゆる“正常眼圧”の人でも緑内障性の視神経変化や視野異常を来すことがわかり、“正常眼圧緑内障”という病名が付けられました。前出の統計では緑内障患者の半数以上が正常眼圧だったという結果が出ています。正常眼圧緑内障の原因としては視神経周囲の血流の低下が指摘されています。
緑内障の診断は
比較的簡便なのは視神経乳頭の観察です。最近は無散瞳眼底カメラなど診断機器の進歩により薬で瞳を開くことなしに視神経乳頭を観察することができるようになりました。これで、大まかに緑内障の疑いがあるかどうかを判定することができます。最終的な診断には視野検査が必要で、視神経乳頭の変化に一致する視野異常が検出されれば緑内障と診断されます。一般的に初期の緑内障の検出には静的視野検査が、ある程度進行した緑内障の程度判定には動的視野検査が有用です。
緑内障の治療は
一般的に点眼薬による薬物治療が行われます。手術が必要になるのは主に眼圧が高いタイプの緑内障で、薬物療法を行っても適正な眼圧まで下がらない場合に適応となります。薬物療法は大きく2種類に分かれ、眼圧を下降させるものと視神経周囲の血液循環を改善させ視神経を保護するものがあります。正常眼圧緑内障には主に後者の点眼薬が使用されます。
緑内障は怖い病気?
緑内障は“失明してしまう怖い病気”と考えていらっしゃる方は多いと思います。それは間違いではありませんが、現代の様に優れた診断機器の無い時代には病気の発見が遅れがちになり、見つかったときにはすでに末期近くまで進行していることも少なくなかったためにその様なイメージを持たれるようになったようです。現在では診断機器の進歩によりごく初期の緑内障から発見でき、また薬物療法の進歩により進行のスピードを緩徐に抑えることも可能になりました。他の病気にもあてはまることですが、早期発見・早期治療開始が緑内障の重要なキーワードで、たとえ緑内障と診断されても自覚症状すらでないまま生活することも可能だということです。失明を恐れながら生活をしていくことは精神衛生上も大きな負担になるでしょう。多くの皆さまに快適な“アイ・ライフ”を送っていただくための参考になれば幸いです。
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは
年齢を重ねるとともにお体にはさまざまな変化が生じます。加齢黄斑変性もその1つで、黄斑部という網膜の中心部が障害される病気です。
日本では、人口の高齢化と生活の欧米化により近年著しく増加しており、失明原因の第4位となっています。50歳以上の人の約1%にみられ、高齢になるほど多くみられます。
出典元:日本眼科学会 加齢黄斑変性より
症状
検査
診断や経過をみるための検査には、視力検査・眼底検査などの一般的な眼科検査のほかに、網膜の断層写真を見ることができる光干渉断層計検査(当院でも行っております)、造影剤を点滴しながら眼底写真を撮影する造影検査があります。
また、ご自身でもできる簡易検査として左図のように、方眼紙を利用してゆがみを確認する方法があります。
治療
・抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法
現在主流となっている治療法で、VEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射します。
・光学力学的療法
ビスダインという光感受性物質を点滴し、その後に非常に弱い出力の専用レーザーを病変に照射する治療法です。
・レーザー凝固
黄斑部から離れた病変に対し強い出力のレーザーで凝固します。